昨年から引き続き、私たちはまだ日常を取り戻せずにいます。
いろんな立場の人、いろんな世代の人、それぞれ違った形で我慢をしてきたと思います。

その中で、若い人たちも彼らなりに我慢をしてきました。
今なお、世の中からもっと我慢をしてくれと言われています。

自分の親やおじいちゃん、おばあちゃん、友達など、大切な人の命を守るための行動をと。

自分の行動が、後でその人たちにどんな結果をもたらすか想像しろよってことです。

確かにそうだ。その通りだ。
でも、これを聞いて１００％素直に受け入れられる若い人がどれだけいるだろうか。

自分が我慢してでも、守りたい家族がいる人ばかりではない。

素敵な家族像を、まるでテレビに出てくるような家族像が当たり前だよねと、
そんな前提で言われたなら、それに当てはまらない人はどう気持ちをもっていけばいいのだろう。

大切な人がいるならば、守りたいと思うのは当然だ。
それが親だろうが、他人だろうが。

では、もっと視野を引いて見て欲しい。

若い人たちの大事な時間を犠牲にしてまで、守りたい大人、高齢者に自分たちはなれているのだろうか。

バス待ちのため整然と並んでいる高校生の前に、平然と割り込む高齢者。

「あー年をとると並ぶのがしんどくて座りたいんだろうな、大丈夫だよ、割り込んでも」
と若者が思っているとでも？

バイト先でも、若いというだけで横柄に上から物を言われる。
わけのわからないクレーム、人格を否定するような態度。
それが社会勉強なんだよねと真摯に受け止めているとでも？

私もすでに５０歳を超えていますが、突然、高齢の男性にキレられ罵声を浴びせられることがあります。
もし、私がすばらしくガタイがいい、スキンヘッドの厳つい男性だったら言われなかったかもしれない。

おそらく、若い人は私よりもっと老害と呼ばれる被害にたくさんあっているでしょう。

若い人は、なんでも従順に素直に言う通りになると考えているなら、大きな間違いです。

若い人は、窮屈な時代を十年二十数年生きてきて、それだけでも頑張っている。

良い時代も辛い時代も経験して、感受性も鈍くなった大人と違い、
若い人は、大人が想像しているより、もっともっと敏感で傷つきやすいのです。

私たち大人は、自分たちの行いを棚に上げて、若い人の心を踏みにじってはいけないと思う。

若い人は、経験も知識もまだまだ足りないのは当然だ。

でも老いていく私たちが見ているより遙かに、いろいろ考え、悩み、学んでいっている。
そして私たちより遙かに聡明で、可能性を持っていて、力がある。

私たち老いていくものは、いかにその力を大切に見守り、発揮させることができるかを考えたい。

若者へ
どうか自分の未来のために、今を考えて下さい。
今、刹那的な満足で自分の未来を自分で潰さないでほしい。

失敗したっていい。いつでも取り戻せるから。
老いていくものたちに遠慮せず、
自分たちの思い描く国を作っていってください。

老いていくものたちの犠牲になる必要はない。

この国の未来は、自分たちが作っていくものです。
あなたたちが生きやすく希望が持てる毎日。
どうかそんな未来をあたなたちがその手で掴めますように。







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